芸術分野はマーケティングによって生まれ変わることが出来る。
僕はそう考えています。
マーケティングというと、儲ける為のものだとか、市場調査だとかそういうものを思い浮かべるかもしれません。
が、それはマーケティングの一面に過ぎません。
ではマーケティングとは何なのでしょうか。
日本マーケティング協会ではマーケティングを、
「企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である」と定義しています。
カンタンに言えば、、
- 顧客理解
- 競争
- 市場創造
が大事ですよ。というモノです。
一番のポイントは「顧客理解」という点です。
そしてコレこそ芸術分野に欠けている部分でもあるのではないでしょうか。
衰退産業と呼ばれる業界が、マーケティングにより復権した事例は挙げればキリがありません。
それらは全て、「自社製品」についてより「顧客の理解」を中心に据え、顧客に焦点を当てることで復活の糸口を見出して来ました。
芸術は骨董品ではありません。
マニアだけが楽しめればいいのでしょうか?
芸術を「自社製品」として観客を「顧客」と見たとき、
「自社製品」のアピールに躍起になってないでしょうか?
それで「顧客」は喜ぶのでしょうか。
そしてうまくいかないのを「理解がない」「芸術の市場がない」と外部環境のせいにしてないでしょうか?
マーケティングが必要と僕が感じた芸術界の違和感
学芸会の延長線に感じてしまうクラシック業界
誤解を恐れず言います。
クラシックのコンサートに行くと「学芸会」に感じることがあります。
レベルの高い「学芸会」というのでしょうか。
縁もゆかりもないような人はその場にいないという雰囲気です。
音大卒業生や門下生、レコード会社の人間やオーケストラ関係者。
今この「クラシックという世界」に関わっていない人間は入り込めない余地を感じてしまうのです。
置いてけぼりになるんですね。
「観客である私」のためではなく、関係者にたいする「発表」の場なのではないかと。
一応言っておきますが、私は声楽や作曲も学んでおりますし、母もその畑の人間です。
クラシックに触れるようになったのは確かに大きくなってからですが、そんな私でもそういう居心地の悪さを感じてしまう。
たしかに「身内」であったり「お付き合い」で来ている方が多くいるのは事実だと思います。
しかし、お金を払いホールに足を運んでくれる方にはそうでない方も多くいます。
むしろ関係者ではない「一般観客」の母数は関係者の比ではありません。
パイが全然違うんです。
愛好家であったり、いわゆる「一般顧客」をないがしろにしていては、長くは続かないのではないでしょうか。
だからこそ、「一般顧客」にきちんとアプローチしないといけない。
そのためのベストな仕組みを作るのに最適なのがマーケティングという手法なんです。
マーケティングで芸術を再興することは可能である
自分自身の経験に少し触れてみました。
恐らく多くの人が同じことを感じていることはずです。
「芸術普及」「芸術振興」「芸術立国」などなど色々言われていますが、
本当に大事な部分は、今まで述べてきたようなひとりひとりのお客さんを向き合うことだと思います。
「芸術は消費者に迎合するものではない」という意見があるのも知っています。
一方で「芸術は誰にも皆等しく与えなければいけない」という意見があるのも知っています。
いずれにせよ、「その芸術」に対し「価値がある」と判断する「顧客」があって初めて成り立つものであることは間違いありません。
ここらへんについてはまた別の機会に深く書いてみたいと思います。