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「ショーガール」–三谷幸喜(感想•レビュー)川平慈英とシルビアグラブが織りなす大人の時間を味わいにパルコ劇場に行こう!

2014年9月8日


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パルコ劇場にて8/21〜9/14まで上演中の「ショーガール〜こんな出会いも悪くない」を観てきました。

かなり前に、同じく三谷幸喜作品の「オケピ」を観劇した時から歌って踊る川平さんにハマってまして…
ということもあり今回かなり期待しての観劇でしたが、期待を遥かに上回る内容でございました。

今日はそのレビューと感想を書いていこうと思います。

パルコ劇場にて上演

 

パルコ劇場HPより

パルコ劇場、初めて行きましたが都心の劇場とは思えない良い意味でのユルさに驚きました。
昭和な雰囲気がぷんぷん。笑 なんでしょう、昔ながらの単館の映画館といったような感じですかね。
なんでここでやるのか。
実は「ショーガール」はパルコ劇場の前身である西武劇場時代の1974年から木の実ナナ主演で上演していた作品なんですね。今回はいわば三谷幸喜によるリバイバル。

そのため年配の方も多くいらしていて、恐らくは木の実ナナ時代からの観劇者なんだろうなと思います。
三谷幸喜ファン、シルビアファン(ミュージカルファン)の若い世代と混在する珍しい客層でした。

座席数も458席とちょうど良く、どこからの席でもよく見えるしアットホームな雰囲気だと感じました。

ショートミュージカルとショーの2部構成(1時間)

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•絶妙な時間設定
このショーなんですが、なんと開演が夜22時から!まさしく大人の時間。
なんだか本場のブロードウェイのような時間設定でとてもわくわくしてしまいます。
平日の仕事帰りでも観れちゃうとは。

実は「君となら」という同じく三谷幸喜作品である舞台と二本立てでの上演なんですね。
「君となら」の終演後1時間後に開演するためこの時間なようです。
22時から1時間弱の公演ということで人によっては終電がキビシい方もいるかもしれませんが、まあ観終わった後はいい気分になるのでその高揚した気分を維持したまま飲み明かせばいいんではないかと個人的には思います。

ちなみに終電の件については、さすがは三谷幸喜。冒頭の歌の中でしっかりといじっており、山手線の終電の時間も曲中で教えてくれます。(こういう細かさがニクいですね…)

•舞台セット
「君となら」のセットをそのまま使っています。
知らずに行くと、中入ってたまげます。笑  なんせ舞台の上には純日本住宅。
おいおい、まさかのバラし忘れかよと。笑

畳が敷かれふすまがあって、縁側もあって庭にはバスケットゴール。
セットで組まれた二階(ベランダ)には洗濯物が干されています。

これでショーをやるんかい、と。
まあ、仕方ないかーなんて思ったりして。

が、一筋縄ではいきませんね。いそいそと泥棒のようにバンドメンバーと演者が暗がりからコソコソ現れると、和室の端に茶ダンスのようにアプライトピアノが置かれ、二階のベランダの物干し台にドラムセットとベースアンプが登場します。

オケピスタンバイ完了です。

そっからはもうね、あっけにとられましたよ。
してやられた!って感じです。

忍者屋敷みたいにくるっとふすま回転させたらミラーになるわ、畳は神々しくピカーッと光って光の床みたいになるわ。
鴨居や階段には電球が仕込まれていてチカチカするわ。縁側でタップするわ。挙句の果てにミラーボールは回るわ。

「君となら」からのダブルヘッダーの流れなんで、物語でもパロディーしたりして面白おかしくしているんですけど、一番たまげるのはこのセットじゃないですかね。
二時間さっき見てた舞台のセットにはこんな仕掛けがされてたのか!と。笑

三谷さんのこういう自分の作品を平気でいじったり自虐的にネタにしてしまうところ嫌いじゃないです。

あらすじと一部ネタバレ

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30分程度のショートミュージカルと20分強のショータイムで構成されています。1時間とは思えない程の濃密な時間です。例えば曲数も、ショータイムのメドレーを一曲としてしまっても全部で18曲。一曲2分だとしても40分近くは歌ってる訳です。それでもどれだけ話の展開が早いことか。でも決して観ている時はそんなこと感じません。

「洒落たコメディミュージカル」
お話は探偵とその依頼人というまあよくある設定のお話。
「ここ〜は、NY!」と歌い上げながら登場し「じゃな〜い〜」と小馬鹿にしながら落とす探偵川平。(まあNYにふすまはないですからね。笑)ハードボイルドに決めながら「ここは東京 三鷹市 下連雀、俺は寂しい探偵〜」と歌います。(この土地設定が個人的にハマりました)

ちなみに東京三鷹市下連雀の場所はこのあたり。笑

東京都三鷹市下連雀1−13−1

井の頭公園のジブリの美術館の方ですね。笑

やがて、そんなところへ深紅のコートを来たシルビア扮する派手な女が登場。K.Kと名乗り、夫を奪ったある女を調べて欲しいと依頼。その女というのがとても不倫をするようには見えない地味な女。
と、そっからはもうシルビアの怒濤のひとり二役!あからさまな早替えをして派手女と地味女をせわしく演じます。
(これが観ているこっちとしてはまた面白いんですよね。この人はいま早替えしてますよーといった見せ方とか客だけが知ってる、みたいな共通認識もあるし。)

 

で、そんな地味女に次第に恋に落ちる探偵、というお決まりのストーリーで。
「地味な女に気をつけろ」とど迫力の派手女の歌で忠告を受けていたにも関わらず、です。

それでもって、実はそもそも物語の中でも地味女が派手女を演じていたってな流れ。
誰かに気づいて欲しくてやったと。だから自分で自分を調査させたと。
探偵は派手女からぬか漬けの匂いがしてそれに気づきます。

そして、めでたしめでたし、といった感じでショータイムへと移ります。

ショータイム自体は20曲くらいのメドレー。
スタンダードナンバーから日本の歌謡曲までこれでもかというくらい歌い上げて、時にコミカルに仕上げています。

川平慈英という男ははまさしくエンターテイナー

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 •「二枚目川平」と「地味女シルビア」。この二人にありがちなキャラ設定ではなかった

「ムムッ!?」とか「絶対に負けられない戦いが」とか言っているだけのただのアツい男だと思ったら大違いですよ。
彼は本物のコメディアンでありエンターテイナーです。

歌える踊れるそして顔!(シルビアさんも同じく)

言い切りますけど、日本の男性ミュージカル俳優ではトップレベルじゃないですかね。
ここまでエンターテイメント性を兼ね備えた天性の人はいませんよ。

面白おかしくやっているから、なかなか気づきにくいですが。
いとも簡単そうに、それは難しいことをやってのけてますよね。
ダンスも指先まで美しく魅せているし、ターンもきれい。声もいい。歌の響きも高く、声のバラエティも富んでます。
何より意外と低い声もしっかりだしているし、下から上まで同じポジションで歌えているのであまりその音域の広さを気づかせません。
台詞だって下手に声を作り込んだそこらへんの舞台役者なんかよりよっぽど聞きやすい日本語を喋りますよね。
やはり言語が英語な方なんで、純ジャパニーズののっぺりとした日本語と違って、喉も開いていて一文の中に文節でリズムというか節がついてます。
そして軽い。
だから飽きが来ないんですよね。

一方のシルビアも、普段はシリアスな役や夫人役なイメージですが今回はまた違うシルビア。
妖艶なとこ、地味な女なとこ、そしてお茶目でキュートなとこを見事に見せてくれましたし演じ切ってます。

歌も、クラシカルなものはもちろんのこと、ジャズはお洒落に英語で歌えるし、ロックではシャウトするし。

あっけにとられました。
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testaro後記

夫婦漫才みたいで好きでした。

ミュージカルも、ハリウッドの探偵映画のような雰囲気があって、大人の世界。(ディックトレイシーみたいな?)
なのになぜか下町っぽいという。まあそれを両立させてるのはやはり二人の力なのかもしれませんけど。

それと、たった3人のミュージシャン。それもシンセサイザーとかを使わないアコーステックなトリオバンドであれを支えてたのかと思うと…。すごいなあとしか言えません。

今回色々この記事を書くにあたって、観劇ブログとかをのぞいたんですけどね、何を伝えたいかわからなかったとか、ストーリーにひねりがなかったとか言ってる輩がいまして…
おまえらはアホかと。
気楽に観るお洒落で小粋な作品なのがこの良さ。お洒落にってのが趣旨であって。いわばレビューショーみたいなもんだし。そういうもんじゃねえだろと。

これじゃこうしたジャンルのもの根付かないじゃないかと危惧したりもしちゃいました。

 

まあでも毎年の恒例行事になってほしいですね、こっから。
是非継続してほしい。

今年も追加公演が決まっているみたいなので期待は出来ますかね。

9月14日(日)まで上演中です。(ちなみに当日券もございます。)

こんなものもあるんだと興味本位で是非行ってみてください。
気軽に観れるものですし、価格設定も手頃です。

公式HPはこちら

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