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ミュージカル「I DO! I DO!」霧矢大夢主演 あらすじと感想ーレビュー

2014年8月13日


【結婚生活とは長い会話である。】

と言ったのはかくも有名なニーチェですが、
この言葉が最近頭から離れないtestaroです。

なぜか。それは「I DO! I DO!」というミュージカルを観てきたから。

というのもそれは、ある夫婦の結婚してからの50年に渡るお話。

宝塚出身の霧矢大夢主演。
奇をてらうことなく、ピアノ2台役者2人のみと、
究極までシンプルに、無駄を削ぎ落とした上質な作品。

結婚って何なんだろう。

そんなことを考えながら、作品のあらすじ•感想のレビューを書いていこうと思います。

 「I Do! I Do!」はオフブロードウェイ作品の名作!

新婚〜出産〜子育て、そして倦怠期、更年期、子の結婚から初老までの
ごく普通の夫婦の50年を描いた物語。

1967年初演。1996年からオフブロードウェイでリバイバルされた作品です。
ピアノ2台、役者2人のみでつづられる極めてシンプルなミュージカル。

ちなみにオフブロードウェイとは、オンブロードウェイ–いわゆるブロードウェイの
300人以上入る劇場に対し、それ以下の収容数の劇場での演目を指します。
ブロードウェイはほぼミュージカルですが、オフになるとストレートプレイなども多いです。
(100席未満の劇場はオフオフブロードウェイという)

今回は赤坂レッドシアターという小劇場にての上演。

宝塚出身の霧矢大夢を主演に、福井貴一と柳瀬大輔というwキャスト。

「I Do! I Do!」のあらすじ_

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物語は結婚式当日、「I Do!」と愛を誓い新しいスタートを迎えるシーンからの幕開け。

新婚初夜、二人きりになると戸惑いや青春の終わりの寂しさに不安が募ってくる。

しかし母からのプレゼントか、ベッドに置かれた
「love is god」と書かれた枕を見つけ和む二人。

あどけなさを残した若い二人は、「おやすみやすらかに」と
互いに子守唄のように歌う。

そんな二人にもやがて長男が生まれ、ほどなく女の子も生まれる。

30代になると妻は洗濯の片付けと家事に追われる毎日。

40代。夫は仕事盛り、男盛り。仕事も波に乗りすっかり調子づき
女はもう下り坂とあざ笑う。

一方の妻も夫の稼ぎで浪費、散財。
当然のごとく夫婦喧嘩が勃発。

旦那の浮気、妻の遅刻癖。
「誰にも欠点がある」と、互いの気に入らない所を
列挙したリストを、歌に乗せ言い合う二人。

時は過ぎ、子どもが大きくなると
二人は老後の第二の人生を夢見て語り合う。

しかし、いざ子の結婚式を終えた日
がらんどうとした自宅に戻ると寂しさが漂う。
ふと妻は急に夫が他人としか思えなくなり、
「出て行く」と告げる。

私は誰なの?

妻であることも終わり、母親も終えたと。

晩年。二人きりの生活のスタート。
二人は長年連れ添った家から新しい住まいへの引っ越し。

いろいろあったと思い出にふけながら、
遅刻癖のあった妻も今はもう家を出る20分前にはスタンバイ。

最後には、love is godの枕をそっとベッドに置き
これからここで暮らすであろう若者の結婚生活を思いながら、
二人は住まいを後にする。

そしてまた、この枕を手にした別の誰かの物語が始まる…

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最もドラマティックな物語は普通の夫婦のお話

このミュージカルは、戦いもなければ悲しみに泣くシーンもありません。
猫が踊ったりもしなければ屋根の上でヴァイオリンも弾きません。
踊りもなければ愛の言葉を高らかに歌う事もないです。

だけど、とてもドラマティックなんです

何がドラマティックなのか、そんなの知ったこっちゃありません。

だってこの作品にはアクシデントや困難もない。
なにかカタルシスがあるわけでもなし。
あるのは些細な夫婦間のトラブルだけ。

どこにでもありそうな夫婦の毎日を覗いているだけです。

でも裏を返せば、それはつまり普通の夫婦の日常ってのは
ドラマティックなものなんだと言えるのかもしれません。

何か特別な人間の話では決してないのです。

普遍的なものに共感を感じ、美しさを覚えるのかもしれません。
あるいは自分に置き換えて観て、感情移入してしまうのかしれません。

 

小道具の出ハケを役者が行う事で生活感を出している。

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舞台の基本セットは中心にベッドが一台と、両端に夫と妻の机が一台。
小劇場の作品ゆえ、そんな大掛かりなセットとか、人手はかけられません。

ゆえに小道具と多少の大道具の移動は役者がこなします。

だから妻と夫の二人は袖から出たり入ったり。
でも、それがとてもいい具合に生活感を醸成していたんです。

 

例えば、中心に位置するベッド。

若い頃はベッドを回転させるほどはしゃいでいたり
天蓋ベッドにかかるカーテンも思い切り開いていたり。

年を重ねるにつれそのカーテンの開け方も落ち着いてきて、
その開け方ひとつで喜びや悲しみが伝わってきます。

それほど丁寧にそして細かく小道具を扱っていました。
いや、役者の二人がしっかりとその年齢ごとのその役の人間として
舞台上に生きているからこそ矛盾なく扱えているのかもしれません。

 

晩年、家を出る前に、二人でゆっくりといつものことのようにカーテンを開けていました。
その仕草を観ているだけで、二人の年輪がはっきりと感じられ、
この夫婦がじっくりと描いてきた絵、織ってきた、味のある一枚の織物を見せつけられたような気がしました。

ベッド一台でここまで表現できるもんなんです。

大きなのっぽの古時計じゃないけど、変わらずそこにあるものとかわりゆくもの。
その対比を無意識で感じているからこそ、脈々と流れる時間も感じるのでしょう。

ミュージカル「I Do! I Do!」は美しく極めて上質な作品だった

古今東西、夫婦に起こる物語は似通っています。
だからこそ、この作品がこんなにも長い間世界中で上演されいてるわけです。

年を重ねるごとに、味が出てきていい具合にしゃがれていく役者の演技を観るだけでも
このミュージカルを観る価値はあると思います。

老若男女様々な方に観て頂ける作品かと思うので、
それぞれの立場でご覧になって、観劇後は余韻に浸って頂けたらと思います。

オフブロードウェイを彷彿させる赤坂レッドシアターにて上演

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ミュージカル
『I DO! I DO!』 A Musical About Marriage
脚本・作詞◇トム・ジョーンズ
作曲◇ハーヴィー・シュミット
演出◇大河内直子
翻訳◇広田敦郎
音楽監修◇島 健
出演◇霧矢大夢、福井貴一・柳瀬大輔(Wキャスト) 
●8/8~24◎赤坂レッドシアター
〈料金〉¥8.000(全席指定・税込)
〈問い合わせ〉ナッポスユナイテッド 03-5342-0909

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